投資信託における複利効果について
2018/01/06
そもそも複利効果とは
よく投資に関する記述の中で「複利」とか「複利効果」という単語を見かけます。
これは、年数を重ねるごとに、発生した利益で投資元本が増加しすることで、
年数を重ねれば重ねるほど、どんどん年間発生利益が増大していくことを指しています。
別の言い方をすると、発生した利益に手を付けずそのまま投資に回すということです。
しかし、現実にこんな上手い話が起きているのでしょうか。
普通に考えれば、それだけメリットがある話であれば、もっと世間に浸透しているはずです。
よくある証券会社のセールストークなだけであって、
本当はこんな上手くいかないんじゃないのかと思ってしまいます。
というか、毎月5万円積み立てて年7%の複利で運用すれば1億円といった記事をよく見ます。
そんな上手くいくなら皆大金持ちになってるだろ!って突っ込みたくなります。
複利効果は実在する
ダラダラ文句言っておいてなんですが、金融商品において複利効果は実在します。
これは間違いない事実です。
すごく身近な例をあげると、銀行預金です。
分かりやすいように、銀行金利をバブル期の水準である年2%と仮定します。(夢のような数字です。)
1,000万円を年2%の金利がもらえる銀行口座に預けると、
1年目は20万円(税引き後では16万円)の金利がついていたのが、20年目には27万円(税引き前)になります。
毎年の金利で口座の預金額が増えていってるので、当たり前のことですが毎年金利額が増えているだけです。
ほんと大した説明はいらいないのですが、
ただ1,000万円を預けておいただけなのに、
1年目の金利20万円/年⇒20年目の金利27万円/年とUPしていく、
これが複利効果と呼ばれているものです。
問題は、その複利効果を確実に実感できる金融商品である銀行預金の利率が、
現在ではネット銀行の利率がいいところを探しても、0.05%程度しかないということです。
こんな利率じゃ1億円預けても年間5万円しか生み出してくれません。
金利にかかる税金(税率20%)を引かれたら実質4万円です。
投資信託でも複利効果を得られるのか
元本保証は無いけれど、さすがに0.05%よりは期待リターンが高い金融商品である投資信託の場合
複利効果は実感できるのでしょうか。
理論上はYESです。でも、現実的にはYES/NO半々といったところだと思ってます。
複利効果は、単年の利益が積もりに積もって投資元本を増加させることで生み出されますので、
投資信託の基準価額が常に一定比率以上で右肩上がりに上がっていけば、
複利効果が発生しますし、銀行金利みたいにその発生を実感することができます。
つまり、毎年5%以上必ず基準価額が上昇するファンドであれば、銀行金利と同じ現象が発生します。
株式に投資するファンドの場合だと、ベンチマークが横ばいだったとしても、
配当金を再投資していれば、その分の投資元本増加(≒基準価額の増加)も行われているはずです。
ただ、大抵の場合は、投資信託の基準価額は上昇と下落を繰り返しますので、
これが複利効果だ!というような実感を得る機会はそうそう無いと思います。
まとめると、複利効果という現象は実在するが、
投資の世界においては必ずしも体感できるものではなく、
結果として、基準価額は複利効果の産物であるということになります。
ですので、投資関係の記事で複利効果という文字を見てもあまり真に受けず、
配当は再投資にまわすファンドのほうが
複利効果でリターンが大きくなることが期待できるんだなくらいの認識でいいと思います。
大事なことは、投資先が将来きちんと求めている水準まで利益を生み出してくれるかを考えることです。
なお、2018年1月時点で、「わたしのインデックス myINDEX」で調べたところ、
主要なインデックスの長期の年率リターンは下記のとおりです(2017年11月末時点)。
なお、ここでいう年率リターンは複利としての利率です。
30年という長い期間の実績があるインデックスは少ないですが、
先進国株式を買っていれば、複利での7%運用というセールストークの数字が
実現できていたようです。
一方、ここ10年の年率リターンで7%以上のリターンのインデックスはありません。
理由の1つは、10年前と言えばリーマンショック前の株高の時期だったからですね。
どんないいファンドでも購入時期を間違えてるとしんどいことになります。
まあ、いつが株高で、いつが買い時かわかったら苦労はしないので、
素直にドルコストで積立購入するのがベターな方法だと思います。
あっ、もちろんベストな方法は底値での一括購入です!!!
セグメント | インデックス名 | 10年 | 20年 | 30年 |
国内株式 | 日経平均株価 | +3.8% | +1.6% | |
先進国株式 | MSCI コクサイ・インデックス (KOKUSAI) (円) |
+5.7% | +6.2% | +9.4% |
先進国株式(アメリカ) | ダウ平均 (円) | +6.3% | +5.2% | +8.4% |
新興国株式 | MSCI エマージング・マーケット・インデックス (円) | +1.8 | +7.3 | - |
国内債券 | NOMURA-BPI 総合 | +2.1 | +2 | +3.4 |
先進国債券 | シティグループ 世界国債 インデックス 除く日本 (円) |
+2.8 | +4.5 | +5.8 |
新興国債券 | JPモルガン GBI-EM グローバル ディバーシファイド (円) | +3.6 | - | - |
国内リート | 東証REIT指数 (配当込み) | +3.7 | - | - |
先進国リート | S&P 先進国REIT指数 (除く日本) (円) |
+4.9 | +8.2 | - |
30前半で年収800万円くらいの会社員です。妻と二人暮らしですが、会社の先行きに怯えながら、すこしでも金融資産を増やそうと四苦八苦しています。夢は南の島でのんびり過ごすことです。